おいしいサンドイッチの作り方 スタンバイタイム

一杯のコーヒーが、僕をモブからシェフにした。
誰でも作れる、本格的サンドイッチラブコメ登場!
「特別な自分になってみない?」
モブから脱却すべく高二デビューを目指す草加雄馬
始業式の日に一緒に帰ろうと誘ってくれた剣道部のエース吾妻剛毅、
そしてもう一人下校に加わった文坂記子と過ごした時間をもう一度、
と願いつつも彼は自分に自信が持てない。
そんな時、あの日三人で飲んだ、衝撃的においしいコーヒーを淹れた美人店長、
天宮甘美が雄馬にビシっと問いかけてきて――!?
恋も友情もリアルにおいしくはさみ込む、本格的サンドイッチラブコメ!

面白かったです。
高2で同じクラスになった3人が、始業式の日、ともに下校する途中に見かけた喫茶店の珈琲を飲み、その美味しさを話題に親交を深めたり、主人公がその喫茶店でウェイターとしてバイトすることになる話。

登場人物は以下、

* 主人公 モブキャラから世界一美味しい珈琲を出す店のウェイター兼料理長になる。
* カキコ  特進コースで人間関係に上手くいかず普通コースに来た書道部の少女。
* イケメン 剣道青年。カキコに好意をもっていた。
* 喫茶店の店長 珈琲の味は絶品。それ以外は?

主人公はカキコのことが好きになりますが、イケメンも実は前からカキコのことが気になっていて、始業式の日に一緒に帰ろうと誘ったのだと打ち明けられます。

タイトルから『おいしいコーヒーのいれ方』という有名な作品が連想されますが、本編においてもこの作品への言及があります。私も高校時代に、あの作品を読んだことがありましたが、おいしいコーヒーのいれ方をあまりレクチャーしていた記憶が無いのに比べると、この作品ではレシピなどを表記したりして、わりとしっかりとおいしいサンドイッチの作り方を示している感があります。
セリフ少なめで地の文がたっぷりあって良い。店長が強引で若干イラッとしました。
店長が、おいしいサンドイッチを作れとか新メニューを作れとか課題を出すため非常にテンポよく話が進んでよかったです。
ウェイターに必要なものとはなにか、主人公が持っている才能とはなにか、絶品のコーヒーに合うフードとはなにかなど、経営の観点に話題があって面白い。
茶店の名前であるアマミーレは、著者が学生時代に友人たちから聞いた複数の喫茶店の話が統合して出来上がった架空のものらしい。ブギーポップの世界における深陽学園のような。
物語の末、主人公は店のメニューにもなる『おすすめサンドイッチ』を考案して開店以来最高額の5,950円の売上を得ます。
ファミ通文庫は誌面の発売から一ヶ月で電子書籍化なのですね。

全然関係ないですが、最高の珈琲と聞くとTumblrで流れてきた以下の文節を思い出しました。

"「もか」という珈琲屋のマスターが、究極の珈琲求めて世界中さまよった時、カナダだかどこかで、「うちが終着駅だよ」というマスターに出会った。それはたしかに完璧な珈琲なんだけれど、飲んだ瞬間に満足してしまって、2杯目を飲みたくなくなるんだと"
https://twitter.com/medtoolz/statuses/768011027

カキコこと文坂記子。オリジナルは眼鏡つけてますが。