たまにはあらすじでも

 以下、後輩様に頼まれている文芸部部誌の粗稿というかあらすじというか書き連ねてみただけというかお目汚しというか。短編三つ書こうと思ったけどなんか長くなりそうだからどうしよう。
 あまりにも中途半端なのは仕様、縮小版。序文要らないとか知らない。
 明日はもう少し頑張ろう。

 主人公椋子は現状の「高校三年受験生」という立場におかれ「焦って」勉強している。しかし椋子は「大学に入りたい」とは少しも思ってはいない。むしろ椋子にとって「安寧だった高校生活」が終わり、その延長上にない、断絶した場所にある(と思われる)大学にいくことは「嫌なこと」でしかなかった。でも安らかな高校生活はもうない。変異は既に始まっていて、椋子は「焦って」勉強しているのだった。それももう終わろうとしている大学の受験日が迫っている。
 正直、椋子は自分の心をそこまで分析してはいない。時々発作的な悲しみが心を襲って、とてつもない不安からじっと耐えなければならない時があるくらいだ。しかし大学が嫌いで、高校生活とその中心にある月子さんとの日常が好きだと考える。椋子は泣かない。そんな暇はない。受験生なのだ。自分の弱さを分析したり、泣く時間があったなら、もっと強くなること、公式や単語を覚えたり、問題を一つでも多く解くことをしなければならない。それに、椋子には支えとなる月子がいるのだ。発作が起きたときは大好きな月子や高校生活の思い出、とにかく楽しかったこと嬉しかったことを考え、精神安定をはかる。
 でもそれらは四月には夢のように雪のように消えてしまうものだ。幸せだった桃源郷が、腐敗し甘い腐臭をただよわせ、今や椋子の心の不安をあおる元凶となっていることを、椋子は知らない。