プリズム少女 ~四季には絵を描いて~

 まず、表紙が綺麗だなというので手にとって(余談ですが、イラストはトマルさんという人で調べてみるとTumblrでイラストをあげていたのでTumblr大好きっ子としては非常に好感が持てる。仮に、私が作家に興味を持って調べてみたとき、はてなアフィブログをつけている杉井光を見つけた時に好感が持てたとは言い難かったので、それはメディア(媒介)の違いなのかそれとも、なんでもないです)、著者紹介を見て『還りの会で言ってやる』の人だったので、あの作品は面白かったなと思いました。
 面白かったです。
 大学生になった主人公の回想から始まって(だいたい作中の舞台となる大学って著者の母校なんだろうなと思って読むけど、今作においては、著者の卒である立命館とは特定できなかったけどどうなんだろう)、高校時代の、ヒロインの一人である千代川が主人公たちの通う予備校に転入してきて、小学校以来の再開となる非常に頭の良い彼女とのあれこれや(数式のイコールの右側左側の話は、単体としてみると面白かった。はてブでも、掛ける順番を代えると小学校の算数の先生から☓をもらう話題があったけど、数学の自由さを求める人からするとあれは哀しいことだ)、中学時代仲の良い玉置藍子都のあれこれや(ヒロインである千代川が霞むぐらいいキャラクターでP263あたりの会話なんて本当に大好きだ)、模試とか受験とかを経て大学生になるまでの話。
 個別のエピソードが、最後から見ると伏線とかで物語上必要なのはわかるのですが、読んでる時はわりとどうでもよく感じたのと、終わり方と主人公が好きになれないのを別にすれば、なかなか良くてグリーングリーンとかそういえば私も好きだったなと思ってiTunesstoreで買ってしまった。
 ミステリはいらなかったんじゃないかと思う。この作品においては、ミステリを解く挑戦者としてではなくて、小説を読む読者としての立場であったほうが、私はすっきりした気がする。