狼と香辛料 (10)

 大抵の生き物は目が二つあっても一つのものしか見えぬ。
 この広い世界で、なぜわざわざ雄と雌がつがいになるかわかるかや?

 土地をめぐる南北の対立のある港町ケルーベにおいて、伝説の海獣イッカクが陸揚げされ、その利権を狙う騒動にロレンスとホロとコルが巻き込まれる話。
 原作でいうと、8巻9巻相当でまだ中盤といったところか。
 蟲師に続章が始まったことだし、この作品もアニメの続編が始まらないものかと思うのだけどどうなのだろう。
 ますますホロが可愛く見える。
 原作を読んでいる時も思ったのだけど、この街の対立はわかりにくかった(私の理解力のなさに起因するものでこの街に限らないけど)。漫画のイラストで図示されるとちょっと理解できた気がする。
 
・北側の地主はイッカクの所有権を主張してその視力で莫大な借金を完済したい。
・南側の商人たちはイッカクの売却権によって土地を買上げてしまいたい。交渉役として町の外から来てエーブと面識あるロレンスを利用したい。
・地主の息子は北側を裏切って土地の権利証を持ちだしてイッカクと交換して逃亡しようとエーブに誘いをかけている。
・北側の交渉役であるエーブは地主の息子を裏切って土地の権利証だけ手に入れてイッカクを独占しようと南側の交渉役になりそうなロレンスに誘いをかけている。
・ロレンスは南側の交渉役としてエーブとの交渉(というか単なる連絡役)になるが、エーブが裏切ると間に入った自分が潰されそうなのでやりたくない。
・ホロは、そんな騒動など狼の姿でイッカクを丸呑みにすれば済むような、その程度のことなのであるし、今後の目的のためにも有利になりそうだからのってみたらいいという。
 
 権利証にそんな力がある世界なのかと疑問に思ったけど、その点は地主の息子の成年として認められた効力と裁判等の南側の支配力でなんとかなるというファローがちゃんとなされていた。
 エーブは、金がある限界を超えた時にいつか満ち足りて不安と苦しみのない世界にたどり着けるんじゃないかと期待しているというが、これについては答えが出ているように思う。もちろん私は限度を超えるほどお金持ちになったことはないから歴史的にだけど。