少女地獄

なぜ短編のいろいろ入った全集から少女地獄なのかというと、"少女は踊る暗い腹の中踊る"のヒロインの好きな作品がこれだったからで、まぁあの作品自体は……だったけど、少なくともあの作品に出てきた諸々が著者様の好きなものの寄せ集めであろうという僕の推論に間違いがなかったなら、この少女地獄こそは面白いはずなのだ。
余談から入って恐縮だけどドグラマグラのエントリに書き忘れたから云うと、そういえば戦場ヶ原ひたぎさんの好きな作家が夢野久作で好きな作品がドグラ・マグラでしたよね。小難しい小憎たらしい思考文章なところは相通じるところがあるかもしれない。そういえばドグラマグラの学説云々ってところは西尾さんの戯言シリーズの学者さん狐さんが出てくるところを思い出しもし、系譜なきというもののそんな流れはあるものかなとおもった。
あとあの作品は怖くはないけど、長いから何日かかけて読んだんだけど、その最中にネットの知っている人の言動がいきなりガラッと変わったり、あるいは生活のそこここの凶事に、あの本を関連付けてありていに言えばのろわれたんじゃないかという間接的な恐怖を感じた事は否定できない。
さて、話を少女地獄に戻すと、話はある耳鼻科医から大学の教授に宛てた手紙ないし報告の体裁をとっている。この呼びかけ語りかけの述し方はドグラマグラの資料にも見られた手でありおそらくは夢野の十八番なのではないかと睨むが、個人的にはこういう語りかけは好ましい。また話が逸れたが、でその手紙の内容というのが姫草ユリ子なる人物についてで、この人物は看護人として勤務しその働き実に目覚しいものであったが、実体は期待の虚言癖がありそれに引っ掻き回された記録ともいえる。
 
……ところで驚くべき事に、というのは僕の間抜けさが驚きということなのだが、この文章を書いている途中に実は少女地獄を読み終えていないということが判明した。小節に分かれていてどうもその初めのひとつしか読んでいなかったみたいだ。でも次の節と内容的なつながりがあるのかなぁ・・・うーん。でも返却の延滞期限になっちゃうし! しかたないよね!
 
続かない。

夢野久作全集 6

夢野久作全集 6