『心にナイフをしのばせて』

原作:奥野修司
あらすじ:いわれなき凶悪犯罪に巻き込まれた被害者の遺族は、心の中に深い傷跡を残している。40年前に実際に起きた、高校生の少年による同級生の殺人事件。長年にわたってこの事件を取材してきたノンフィクション作家の奥野修司氏は、ルポの最後、遂にに事件の遺族の心の真実に到着した……。奥野氏のルポルタージュを原作にドキュメンタリータッチのドラマとして描く。

高校生首切り殺人事件 精神鑑定書
痛いニュース(ノ∀`):首切少年Aが弁護士になって悠々自適。ヨットサイトも運営。

いわれなき凶悪犯罪に巻き込まれた被害者。
同時に大きな心の傷を負い、またこの取材によって加害者の今を知ってより大きな苦悩を味わった遺族。
法的には罪を負わず弁護士となるまでに"更生"したにもかかわらずこの取材により弁護士資格を返還することにした加害者。
取材への公平性に対する批判を受けたライター。
こんな事件があったのかと衝撃を受けつつ調べてみたら確かに既知であったはずの事件で、心なく事件を風化させ無関心な第三者であることを自覚する僕。
と救いの無いというか慈悲のない話。
この本、取材は人を幸せにしていないし、むしろみんなを不幸にしているように思う。不幸が不幸を呼び寄せる類の事は最も忌避すべき事柄であるがそれでもこの本の価値はこうした事実を伝えることが民主主義に資する可能性があるという点にあるのではないか。
最もこの話の内容について述べているこの文章もまた誰も幸せにしないし、あまつさえ民主主義にも資する程度は著しく低いのだろうが。
まあでも多様性が大事なのだよ。