ソーシャル・キャピタル―「信頼の絆」で解く現代経済・社会の諸課題

ソーシャル・キャピタルは、社会における信頼、規範、ネットワークをさす言葉であり、社会の様々な問題と密接にかかっている概念である。生活と結びつく広範な分野を使うことができるため、多用な人々が議論するためのプラットフォームとなりえる。欧米では既に政策にも取り込まれている。


批判
社会関係資本論においては、その「資本蓄積」が積極的に評価されているが、ジョン・アーリやスコット・ラッシュなどの社会学者は、こうした概念化に対して、むしろ「蓄積されない」流動的な社交関係が今日の社会において大きな役割を果たしており、その相補性を見つめる必要があるとして、建設的な批判を加えている。
ソーシャル・キャピタル - Wikipedia
SCと社会流動性は必ずしも対立しない。
ボンディングにおける過度に強い紐帯は確かに有害であろうが、本書で大学型SCとして示されているシリコンバレーでは"独特なカルチャー"によって、ブリッジングによる組織への帰属が希薄で、組織間の境が曖昧な健全な流動性を持つとする。


民共同体指数と州政府のパフォーマンス指数の強い相関。県別の財政規律と内閣府調査のSCに相関。
あるいは犯罪とSCが逆の相関、自殺はSCと逆の相関といった関係が目につくが、片軸がSCであるのならまとめた図が示せるはずだし、そうすれば単純に相関といえないような事例が見えてくるのではないか。
個人的には、上記のとおりであればSCのある地域は犯罪もなく自殺もなく財政も豊かで行政のパフォーマンスも良い、一方SCがない地域ではまるでスラムといった印象だが、そんなことはないだろうと思う。


最近話題になってた『図書館とホームレス』の問題については、"移民などの少数派が社会から孤立し、不安定化をもたらしていることから、彼からに連帯感を強めてもらうソーシャル・インクルージョン(社会的包含)"が有効だろう。シアトルではホームレスの人がコーヒー・カートの運営を担当しているそうだ。


ソーシャル・キャピタル―「信頼の絆」で解く現代経済・社会の諸課題

ソーシャル・キャピタル―「信頼の絆」で解く現代経済・社会の諸課題