結婚できない男

みかん箱を作るのにみかんを好きになる必要はない

建築家で独り身で40歳で映画オタクで偏屈で協調性社交性がなく肉ばかり食い言わなくていいことを言い隣人への嫌がらせのようにクラシック音楽を聴き同業者に嫉妬する男が主人公の作品。
十年前のドラマ作品。登場人物は優しい。とても面白かった。

この主人公はかなりの変人として描かれているが、その考えや行動には同意できるところが多い。
仕事や掃除や趣味(映画やプラモ作り)に対する姿勢とか、なんだかんだいって押しに弱くて優しいところとか、素敵だ。ただ彼が変人たらしめられているのは、人との関わり方で、言わなくていいことを言ってしまう、なあなあで済ませることができない。
これはたしかに酷いけど、どうだろう、これは結婚できない理由なのだろうか。言わなくてもいいことをいうデリカシーのない人やなあなあで済ませない真面目は人は、この主人公じゃなくたっていっぱいいるし、その人達は結婚してる人もいっぱいいる気がする。
彼は結婚によって得られる安心やその他様々なものを必要としないことにしていた、あるいは目を背けていた。
母親からは結婚をせっつかれていたが、結局、彼が必要としていたわけではなかった。
料理はできるし仕事の才能はあり収入もありいい部屋に住み好きなことができる彼には、異物を取り込むことは必要なことというより弱点を作ることだった。
しかし好きな肉ばかり食べた彼は、病院に通うことになったのだが。