一週間フレンズ。 1〜5 [Kindle版]

高校生・長谷祐樹は、いつも一人きりでいるクラスメイトの藤宮香織と仲良くなりたいと思い、彼女に近づこうとする。しかし、彼女はそれを頑なに拒んだ。その理由は「私、1週間で友達との記憶を失くしてしまうの…」。だが、それでも祐樹はひたむきに、香織との仲を紡いでいこうとする。

 記憶をなくしてしまう少女と彼女と仲良くなりたい男の子の話。
 長谷くんは顔がいい藤宮さんと仲良くしたいのだけど、藤宮さんは一週間で友達の記憶をなくしてしまう障害をもっていて、せっかく仲良くしても次の月曜日にはまた忘れられて振り出しに戻ってしまう(ふだん藤宮さんは安易に友達を作らないように頑なに友達を作らないようにしている)。
 この記憶障害の判定は日曜就寝中に行われるらしく、この時点で友達と判定されると遡ってその人物の記憶が消去されるらしい。たまに、ショックなことがあると日曜就寝中でなくともリセットされる。記憶障害の設定というと「博士の愛した数式」が思い出され(あっちは80分)、恋愛というか愛情というか息子のルートを含めたそんなあたたかな物語だったと記憶しているが、この作品も現時点では恋愛までは至っていなく、同じようなあたたかな雰囲気を楽しめる。藤宮さんも数学がめっちゃできるのも共通点。
 長谷くんは、なんとか周囲を出しぬき、藤宮さんとの関係を恒常的なものとする基盤をつくろうと、日記をつけることを勧める。おかげで長谷くんは毎日藤宮さんが作ったお弁当を一緒に食べれるようになった(ふだん警戒している藤宮さんと友だちがいるところでの素の藤宮さんのギャップが萌える)。またその基盤の上で、藤宮さんが友達に関する記憶を繰越す兆候を見せはじめたりもする。
 あとはまあ、他にも友人を増やしてはどうかと気を使ったら、その桐生君は友人と認識されなかったらしく記憶が消去されず逆に親しげに見えて、嫉妬する自分勝手な長谷くんとか、女友達の山崎さんも出来たけど、色々頑張ってる自分より『女友達の山崎さんのほうが特別だよ』と言われて凹む女々しい長谷くんとか、藤宮さんが記憶障害になった原因に関係しそうな幼馴染の九条君が転校してきらそのショックで今まで培ってきたリセットされない関係性も吹き飛んでしまって、すっかりやる気をなくした長谷くんとか。
 ということで、そのくらいの覚悟しかないのなら、初めから障害ある人に近づかないほうがいいんじゃないのかとか、この先は藤宮さんが長谷くんのせいでさらなるショックを受けたりしたら立ち直れなくなるんじゃないかとか心配してしまうのですが、まあ覚悟がなくちゃ仲良くしちゃいけないというわけでもないし、高校生だしやり直せる歳だし、藤宮さんに振り回される長谷くんを楽しむ漫画のような気がするからいいと思う。