有頂天家族

 アニメ化した作品。
 アニメは1話がすごく好みで矢三郎が走るシーンも弓を射るシーンもあぐらをかくシーンも能登がしゃべるところものとが桜の下を滑るところも手をつないだカップルがジャンプするところもお気に入り。仕草がいちいち素敵だ。
 狸の家族と神通力を失った天狗と天狗の力を手に入れた人間と狸を食べる人間の話。
 有頂天家族という、家族愛や世を謳歌すること、をモットーにされているのだが、読み終わってみるとなんだか悲しい気持ちがした。綺羅びやかな京都の描写や映像とは裏腹に、神通力と弁天様を失った天狗や秘密を抱えて井戸に隠れた蛙、悪役の家に生まれて口の悪い海星、愛するものを食べることこそ本当の愛と言いながら母は食べなかった教授、だいたいみんな破滅に導く夷川家、なんでも手に入るのにいつも哀しい弁天様。ああ物悲しい。
 面白くない世の中を面白く、というのは、世の中が面白く無いというのが前提なのだな。
 続編があるらしい。弁天様が何を考えているのかも海星が何を考えているのかもわからない。その辺りがわかるのだろうか。
 アニメは多分面白くなるだろうと思う。物悲しさを払拭する綺羅びやかなそしてキュートな映像になってほしい。

有頂天家族 (幻冬舎文庫)

有頂天家族 (幻冬舎文庫)