なにかのご縁―ゆかりくん、白いうさぎと縁を見る

 
 兎が耳を使って、人の背中から出てる"縁"を切ったり結んだりする話。
 また性懲りもなく野崎まどが小説を書いてるなと思ったのですが、最高の小説家も最高の舞台俳優も脚本家も出てこなくて、とても面白かったです。あれ?
 別に縁を結んだからといって"幸せ"が確定するわけじゃないあやふやなファクターなのですが、それでも縁を結ぶために或いは切るために奔走する主人公が素敵でした。
 特に最終話の生徒会長(正確には自治会総務部長)と昔の恋人が繋がった縁を切るための話はなかなか良く、何度か読み返したりもしました。部長さんと主人公がうまく行けばいいのですがこの作者様の主人公ではラブコメ展開は期待出来ませんね。
 相変わらず魅力的なキャラばかりですし、掛け合いもおもしろいのですが。
 あとがきにある通り、今の自分があるのはこれまでのなにかの縁があったおかげでそれらすべてが"今”を作っていると言っても過言ではないと思いますが、それらのほとんどがなかったとしても大体ほとんど同じような"今"があるとも思います。
 あとハイクで戯壇さんがこの小説の表紙イラストを描いてました(イラストでもカヴァーっていうのかな)。