還りの会で言ってやる

 そんな、あまりにも都合の良すぎる結末が。
 この僕に、用意されているわけなどないことを。

 とても面白かった。いじめの話。ロミオ程はドロドロしてない。
 幼馴染がいじめられてるのに気づいて、でも解決に踏み出せなかった主人公が『還りの会』の力でかいけつに動き出したり色々したりする話。
 いじめの話は食指が動くのでわりと読むけど内容によっては精神が沈んだまま浮き上がってこれなくなるので、これはその意味ではちょうどいい感じだった。
 発表されたものでは作者の処女作らしい。プロフィールに立命館大学卒と書いて、作中に同命学院大学のイケメンいい男を登場させるセンスにちょっと引いたけどちゃんと面白かった。良かった。
 作中に描かれるいじめの怖さとして感じたのは、明日はもっと酷いことが起こると予感される怖さ、なにが理由でいじめが起きているのかわからない怖さ、わからないがゆえに自分もまたいじめる側に回るかもしれない怖さとか。三恐。まあこれは勝手に思っただけだけど。
 作品としてはいい終わり方をしているのだけど、P326のせいで読後感が悪い。いじめの怖さが続いてそれもまた悪くはない。
 

還りの会で言ってやる (メディアワークス文庫)

還りの会で言ってやる (メディアワークス文庫)