月光

シニカル男子・野々村。ある日、彼は美人で成績優秀、ゴシップが絶えない謎多きクラスのアイドル・月森葉子のノートを拾う。そんなアイドルのノートからはみ出した紙切れには彼女のイメージとは程遠い言葉―「殺しのレシピ」という見出しが書かれていた。思わず持ち帰ってしまった彼は翌日、月森に探し物がないかと尋ねるが、彼女からは「いいえ」という返事。そして数日後、彼女の父親が事故死する…。第16回電撃小説大賞最終選考作

これはとても面白かった。
月森が殺しのレシピを使っているのか使っていないのか、月森が野々村にアプローチしてくるのは殺しのレシピを持っているのを知っていて謀略を仕掛けるためなのかそれとも篭絡するためなのか、それともまさか単純に恋? いやそれはないなどと野々村くんの立場にたって読むと大変面白い。基本は殺人の疑惑ある月森との緊張感ある会話を楽しむのですがそれがなんというか愛の語らいのように思えてならない不思議な甘々で(基本的に今の僕はラブラブで甘々な小説を欲している)ドはまりした。ラストなんて秀逸だと思うけどな。
Amazonの書評を見たらミステリーとしての完成度の低さが云々って書かれてるけどミステリとして読んだなんてご愁傷様だわ。
シニカル学生としては乙一のGOTHの主人公が素晴らしくて野々村くんはちょっと弱いなバイトとかしてるのはいいのだけど。GOTHはミステリとしても素晴らしくて、でも夜さんたちから愛を感じなかったからな。月森さんからは愛を感じるよ、愛だよ愛、この世は愛で出来てるんだよ!

月光 (電撃文庫)

月光 (電撃文庫)