舞面真面とお面の女

「お疲れ様でしたー。ここまで遠かったですよね。すいません、お迎えに上がれなくて。それじゃあ中に、あ! お荷物! お荷物を、私に、」
 屋敷のお手伝いさんと思しき女性は、客人の荷物を持たなければならないという強い使命感を宿した目で、両手を構えながら近寄ってくる。真面は少しだけ後退った。
「いえ大丈夫です。お構いなく」
「そうですか?」
「ええ」
「持ちましょうか?」

箱を解き 石を解き 面を解く話。
とても面白かった。
しかし魅力的な人物が多いのに(とくにお手伝いさんのような)とくに物語に食い込むことなく通りすぎていったのが残念に想う。もっと厚いノベルで読みたい。もったいない。
シナリオというかアイディアは私の大好きな感じ。ああでももっと直球変化球織りまぜて読者を翻弄させて欲しい。
ちなみに仕事帰りに昨日mayaさんがよさそうと言って私も少し気になっていた雰囲気の良い喫茶店で読んだ。エビグラタンが熱くて口の中を若干火傷した。

舞面真面とお面の女 (メディアワークス文庫)

舞面真面とお面の女 (メディアワークス文庫)