u-glena2007-10-08






*[文系書籍]ウィザーズ・ブレイン (6〔下〕) (電撃文庫 (1500))


 これまでの登場キャラが真昼と月夜に分かれて対立するわけだが、フィアを助けた錬君が、どうしてマザーコア推進派の月夜側につくんだろうね。その辺り本編で触れられないわけではないが。魔法士の解放、情報の開示を行う真昼に対して、月夜の大義が十分見えるとはいえないな。
 P100あたりの会議に出られないテロ組織とかは、パレスチナとか現実のテロ組織の現状みたいで面白い。
 しかし、シティが構造上もたなくて人類に未来がないってのは・・・俺が想像するだけでも、こんな地球環境になったら、地球滅亡を訴える新興宗教とかが流行っているのだろうなどと思うくらいだから、果たして市民が人類の滅亡を考慮していなかったなんてありえないんじゃないかな。
 あと自己犠牲が尊いみたいな記述が多々見られるが、自己犠牲って本当に尊いものかね。自己犠牲を尊いとする社会って、暗に個人の犠牲を強いる社会だと思うんだけど。P152くらいで、実はアニルは心臓病云々、見たいな話が出るが、、じゃあ心臓病のアニルは自己犠牲で死ぬのが尊くて、心臓病じゃなかったフィアは逃げても良かったのか? もちろん個別的な事情は考慮されるべきだろうが、物語として魔法士のマザーコアへの犠牲を考えるときに、心臓病なんて設定にするべきじゃなかったんじゃないか。
 更にいえば、軍部に文民統制があり、民主主義が多数決を原理とするように、アニルがいかにこれまでマザーコアについての情報を独占し、又これがシティのためになると思い込んだとしてもそれは専門家の暴走としかいいようがない。現にアニルの行為は、反対派の利益を代表していないのであって、決して「みんなのための綺麗な自己犠牲」などではない。
 魔法士として政治家として手段に徹すべき専門家が、勝手に目的を騙って暴走してはならない。本来きちんとした合議を経なければならないのに。そんな猶予はないと。心臓病ってなんだよ。
 もっと言えば、P293で錬君は「僕が戦うのは、あの人のためだ」とか言う。フィアの命を守ったときの彼はとてもストレートだったけど、シティの存亡をアニルの強い意思だからと擁護するのは酷い独善ではないか。錬君まるで成長してないどころか退化してる。
 あとは、まー、滅亡に瀕したこの世界に軍事力がどれほどの意味を持つのか、とかイロイロ思うところはあるが。


 個人的にはクレアがかわいかった。純の描くセラは至高。
セラ<<<ディー<<<<<フィア<<クレア<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<月夜<錬


ウィザーズ・ブレイン 〈6〉 再会の天地〈下〉 (電撃文庫 (1500))

ウィザーズ・ブレイン 〈6〉 再会の天地〈下〉 (電撃文庫 (1500))