化物語(下)

　非常に、ありえないくらい（というと少し大袈裟かもしれないけど）面白かった。
　もちろん長編だし、始めから終わりまで一文一文一言一言が、というわけにはいかないのかもだけど、でも基本的にはちょっと褒めすぎな感じで。
　

　読み終わって何の話だったのかまとめようと思って「恋愛」だったのか「怪異」だったのかはたまた「ギャグ」だったかと思ったけれど、あとがきを読むに作者の「趣味」にしておくのが無難かと。
　すごい人はなにをしてもすごい、のだと思わざるを得ない内容なので恋愛にしろ怪異にしろギャグにしろいずれにしろ素晴らしいわけです。短編集だし物語の支柱、は怪異にしても各話違う怪異で、全体の黒幕がいるわけでもなし、怪異は何処かにおいておいて日常会話が突き抜けて面白い所もあり、物語全体を貫いているのは主人公視点と緻密な文章の連なりに尽きる。
　吸血鬼との出会いとか語られていない話も多くて、でも下巻でこの話は終わってしまっているのだけど、だからといって作者の趣味が尽きたわけでもなく短編だからちょこちょこ掲載されそうでもあるので、きっとそのうち補完されると祈願します。

化物語(下) (講談社BOX)