Φは壊れたね

　Ｇシリーズで『λに歯』が売れている中、Φ。たぶん読むのは二度目の森博嗣。初めて読んだのは『森博嗣のミステリィ工作室?』だったかな。高校時代ですね。友達に森博嗣と長野まゆみ大好きっこがいたのですが、さして影響を受けず、あまり読んだことはなかったのでした。
　はてなの森氏の項目で、どうやら作中の人物は他のシリーズにも登場するキャラらしいことがわかりましたが、やはり一度はまってしまうと氏の著作をコンプリートしたい衝動に駆られるのも判る気がする。
　
　
　さて、感想。
　私は推理小説というものをあまり推理して読んだりはしないのです。なぜなら推理小説というのは読者に謎を提起して、読者がそれを解けないもやもやを作中の探偵が綺麗にすっきり解決するところに面白みがあるものだと思うから。まぁ、そうとも言い切れないけど、読者がそう簡単に解けるような謎を、著者ははじめから用意しないでしょう。誰もが解けるよう謎を探偵が見事に解決する小説というのでは、あまりに探偵が道化すぎる(書いててそーゆーのも読んで見たい気がしてきたけど、あくまでそれは例外として）。他にも小説を娯楽としてみているからとか、小学生の時から読んでたら大人の考えるトリックをそうそう相手にしなかった、というのもある。
　しかしこの作品は、別に探偵が解き明かすところにカタルシスを求めたりしないのですね。登場人物が集まってつまびらかにもならない。その辺は作中ラスとあった通りの理由でしょうし、理論を重視する氏の作風のなのでしょう。
　なんつーか学生の身で読むと三割り増しくらいで面白く感じた、気がした。

Φは壊れたね (講談社ノベルス)