“赤外線”って、何色だと思う?

 わたしは特に考えることなく答えました。
「あか」
「でもさ、赤“外”線だぜ? 赤じゃないのに“あか”ってのはおかしいじゃん。そもそも可視光ですらないんだぜ」
「でも」
 わたしは思いました。こたつの暖かな光は赤いし、あとお風呂についてるライトも。
「だからさ。それは赤を使って、あたかもあったかく見せてるだけなんだよ。いうなれば合成着色“光”なのさ。偽者の光は僕らの敵だ」
「むー」
 でも、こたつなんて見える所の光ではないのです。そんなところまで“着色”する必要なんてあるのでしょうか?
「買う時とかCMとかで見栄えが良いからだろ。ほら、それだけのためにずっと“偽者の赤い光”を使うなんて、ますます許せないよな」
 少年は天罰だっ、などと物騒なことを呟きながら向こうへ行ってしまいました。
 わたしは正直、少年の主張はかなり怪しいと感じましたが、彼がいうからにはそうなのかも、と思わなくもなかったのです。
 だって、昔から“光”は彼ら神様の所有物と決まっているのですから。