車輪の下 (新潮文庫)
車輪の下 P122
ハンスは校長が差し出した右手に自分の手をのせた。先生は彼をよそ行きの優しさでじろじろ見ていた。
「それじゃ結構だ。疲れてしまわないようにすることだね。そうでないと、車輪の下じきになるからね」
田舎の優秀な少年がひとり神学校に通うため頭痛を抱えながら勉強し、試験に合格した後に無二の友人を得はしたがその影響を受け道を逸れ、放校し故郷へと戻って機械工見習いとなるも仲間で飲んだ後川で死体で見つかる話。自殺が事故かも定かでない。車輪の下じきになってしまった少年の話。母親不在の話。
車輪の国というゲームがあったな。あれもやってみたい。
文章は読んでいてしっかりとこちらに伝わってくる。長いこと読書感想文のテーマになっていたのが頷ける。
描写が美しくおとぎ話の国にいるような気分にもなる。美しい自然の描写と対比して苛烈な神学校の勉強、人間関係、少年の葛藤。ラストに女性との恋の関係も描かれ、それは結果的に悲劇的なものとなってしまうのだが、何も一度の失敗でそんなに悲嘆に暮れなくともとは思う。たぶん母親の代わりの女性性としての描写なのかなーと思うけど。
- 作者: ヘルマンヘッセ,Hermann Hesse,高橋健二
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1951/12/04
- メディア: 文庫
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